アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(29ヶ月目)+ マリンチャレンジプログラム2021採択

熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制も29ヶ月目に入りました。

≪スタート時の話題、当社のアマモ研究についての説明・資料は 【コチラ】

≪ご参考(以前の活動記録):2019年 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【8月(芦北高校「優秀賞」)】・ 【9月】 【10月(アマモサミット・芦北高校もプレゼン)】 【11月】 【12月】・2020年 【1月】 【2月】 【3・4月】 【6月】 【10月】 【11月】 【12月】・2021年 【1月】 【2月】 【3月】

 

 

2018年12月より月1度の、同校「林業科 アマモ班」のアマモ場造成への活動にも参加させて頂いておりますが、

2021年4月は、干潟活動(移植・観察)・アマモ種子試験・空撮画像撮影と、活動を行いました。

 

 

<干潟活動>

4月27日(火)、大潮干潮時間(15時すぎ)でマイナス干潮となることから、13時すぎに集合して活動開始です。

芦北高校から3年生と前島先生、

当社からは、私・園山と北野研究員・外薗研究作業補佐員が参加しました。

 

 

 

↑ (左上)まずは、堤防上を活動ポイントまで移動です。

(右上)到着後、前島先生から本日の流れを説明。黄色の枠については後ほどふれます。

(左下・右下)大潮となると4m潮位が6時間でマイナス潮位までになりますので、1分で1cm以上の潮位差が生じます。

 

 

 

↑ 11月より毎月実施していた内海(堤防から北側エリアの通称)の多年生アマモを、

外海(堤防から南側エリアの通称。2020年7月の大雨により自生アマモ場が消失)に移植していましたが、

今月からは、初めてその移植試験区の観察がメインとなります(先月までは前島先生がアマモ計測)。

そこで、生徒さんは前島先生からレクチャーを受けながら、アマモの長さ・株数(流れたものがあるか)を確認していきます。

背丈以上の長さにもなるアマモもあり驚きです。箱尺も2mのものを購入して良かったです。

 

 

 

↑ 外海では、大雨で一掃されたアマモですが、移植した試験区以外にも、アマモがちらほら確認できます。

先月の観察でも確認していましたが、大雨前でも生えることのなかった河口側エリアでも自生アマモを確認できます。

大雨で川から流れてきた土砂が30cmほど堆積していますが、移植試験区でも問題なく定着していることから、

アマモ生育条件としては良い底質で成立しているということになります。

それが、河口側にも同様に堆積しているということになるので、これまで生えていなかったエリアでも定着できるようになったのでしょうか。

(底質の分析も進めております。1月と3月に採取。)

 

 

 

↑ 新たな試みとして、アマモラボで生育させたアマモを移植も行いました。

昨シーズン採取し、維持管理毎週行っているアマモ種子を、水槽内で管理し生育させたものです(底質・光環境・水温・播種作法別で試験実施中)。

堤防現場では長さを測り、移植作法別に外海へ移植しました。これは楽しみです。

 

 

 

↑ 今回は同日に、空からも観察(目的(ページ展開後下部)

いつもお世話になっています芦北地元のドローンオペレーター高峰さん、ありがとうございます。

昨年度導入した機材+高峰さん所有の機材を活用して、1月からアマモ場推移を追いかけているエリアを、まずは撮影です。

 

 

 

↑ その後、黄色の枠が登場。内寸が1m四方の正方形ですが、材木利用で作成頂きました(さすが、林業科!。

ドローン利用でのアマモ場解析方法の新たなチャレンジで、空撮画像と実際のアマモ場情報を結び付けるものです。

実際は、6月ごろのアマモが最も旺盛な時期にデータ取得しますが、今回は、どのようにデータが得られるかの1回目トライでした。

(6月の学会で発表する内容でもあるので、ここでは最低限表現のみとさせていただきます)

 

 

 

↑ 干潟活動最後は、海水環境をその場で把握できる!項目と方法を学ぶ機会。北野研究員がレクチャー。

数値を毎月追いかけて見たくなる動機が生まれればと思います。

 

 

 

↑ 恒例の集合写真で終了。おつかれさまでした!

アマモのポーズは?・・・で、生徒さんが即席で決める今月の指定ポーズ、指がアマモの葉の広がりを表しています。

 

 

 

今回の干潟活動は、同じ時期(4月末ごろ)では3回目(3年目)の観察機会でしたが、

2020年7月の大雨後の初シーズンでもあり、違和感を感じるところもありました。

そこで、昨年までの画像を見返してみての気づきも含め記録します。

干潟活動の2日後の4月29日もマイナス潮位であることから、再訪もしました。

(前島先生と2名の生徒さんも、追加観察で来られていました)

 

 

↑ 今シーズン移植試験区構築している外海・ほぼ同エリアです(潮位が異なりますが)。

昨年同じ時期の画像が下側となりますが、自生アマモが見られます。

今シーズンの試験区は、昨年は自生していないエリアでもあることが改めてわかりました(参考空中画像)。

 

 

 

↑ すべて今シーズン4月の内海側の画像ですが、多年生アマモが例年同じように生育しています。

魚も隠れ家となり、鳥も例年のように集まっています。

しかし、何かアマモの緑色が薄い印象がありました(昨年の4月)。

 

 

 

↑ 昨年同じ時期のアマモ画像と比べてみます(同じ内海のアマモ)。

すると、今シーズンの多年生内海アマモは、フジツボが多く付着していることがわかります。

これが原因で、薄い緑色に見える印象があったわけです。なぜフジツボがついているのかは、本執筆中はまだわかっていません。

河口からは堤防で隔てられた内海ではありますが、回り込んで10cmほど土砂が堆積してはいます。

 

昨年度までの環境の違いは他にもあるかと思いますが、大雨によるアマモ場消失機会が「アマモ生育環境良しあし」どちらに向いているのか、

何が変わったのかを把握するタイミングとしては、まさにアマモ場復活に向けての1年目にあるのだなぁと感じています。

 

 

 

↑ 最後に、4月29日に再訪の堤防。

アマモ場と集まる鳥の画は、8月ごろまで楽しめます。これこそ、芦北風景ですね。

 

 

 

<祝・マリンチャレンジプログラム2021採択>

 

 

 

マリンチャレンジプログラム」とは、日本財団とリバネス社が進める中高生研究者向けのサポートにより、

海洋分野での課題を見つけ、人と海との未来を創り出す仲間づくり、

そして、海・水産分野・水環境にかかわるあらゆる研究に挑戦できるものです。

2017年度から進められているプログラムですが、今年も公募があり、

2019年の採択に次いで、2度目の採択(採択校一覧)となりました(昨年度はエントリーせず)。

研究テーマ名 : 「ヘドロを用いたアマモ実生苗確立の基礎的研究 ~熊本豪雨災害からの復興~ 」

今年は情勢鑑み、オンラインでの授賞式となりましたが(2年度前の授賞式の様子(展開後下の方))、2年前と同様に考え方をサポートしながら進めていければと思います。

 

≪次回の活動機会記録≫

 

 

 

 

≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫

【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録1<堤防から見た画像>
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録2<上空・水中から見た画像>
【2020年10月】 : アマモ種子選別
【2020年11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、種子洗浄、海辺の自然再生・高校生サミット2020
【2020年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、「高校生マイプロジェクトAWARD in 熊本・益城」
【2021年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、空撮画像取得開始
【2021年 2 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、光量子測定
【2021年 3 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、高校生マイプロジェクトAWARD 全国summit
【2021年 4 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、アマモ種子試験、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム授与式
【2021年 5 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、アマモ種子試験、空撮画像取得
【2021年 6 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、空撮画像取得、日本沿岸域学会参加
【2021年 7 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、くまもと環境賞受賞
【2021年 8 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム全国大会出場へ
【2021年 9 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、アマモ種子選別、アマモポット苗作成
【2021年10・11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、アマモ種子選別、光量子測定、SPAD値測定
【2021年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定
【2022年 1 月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2022年1・2・3月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定、水槽環境構築、マリンチャレンジプログラム全国大会、サイエンスキャッスル九州大会
【2022年 4 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、水槽構築、光量子測定
【2022年 5 月】 : アマモ観察、空撮画像取得
【2022年 6 月】 : ロープ式下種更新法、空撮画像取得
【2023年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)+4月追記(アマモ場昨年比較)
【2023年 5 月】 : アマモ観察、ロープ式下種更新法、取材