アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(2023年1月)~4月追記

熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制も、50ヶ月目となりました。

毎月のアマモラボ(芦北高校内 アマモ水槽試験環境)での条件比較試験・メンテナンス、議論は行っていますが、ブログは半年ぶりとなります。

(これまでの活動記録は、本ページ最下部のリンク集(計39本)からご覧下さいませ)

 

2023年1月21日(土)の深夜1時半集合にて、今シーズン初めての干潟活動に同席したので、記録します。

(深夜の活動となるのでは、干潟に入れる大潮干潮時間がこの時期(アマモが見え始める11月~3月ごろ)は深夜帯となるため)

当社からは、筆者の私(園山)と北野研究員で参加しました。

今年度は感染症対応により生徒さんと思ったとおりの活動が適わず、11月・12月の干潟活動は芦北高校の先生方+生徒さん一人など最低限人数で干潟に入ったそうです。

しかし、今年は異変があるようで、例年「多年生のアマモ」が見え始める11・12月、

「全く確認できなかった」の情報があり、お声がけを頂戴し今シーズン初めての干潟訪問となりました。

 

 

 

↑ (左上)深夜活動は初めての3年生も参加。まずは堤防上を10分ほど歩き、いつものポイントに到着。

(右上)まずは、堤防から北側の多年生アマモ生息エリアの通称「内海」に入ります。

(下)内海の干潟を観察する様子。しかし・・・

 

 

 

↑ 例年3-40cmは生育している多年生アマモが全く見られません。

例年この時期でも、堤防からも確認できるぐらいですが、今シーズンは見られないのです。

 

 

 

↑ 地下茎の残骸を採取しましたが、黒く腐食している印象で、また、中がすかすかで「ふきのとうの茎の煮物」のように柔らかい状態でした。

新たに生え始めた「実生苗」は確認できたので、現在の生育環境の問題ではないような気がします。

実生苗が生え始める10月まで(昨シーズンアマモが見えなくなる8月ごろから)の何らかの生育環境が原因か、

または、多年生の生存期間が偶然一気に到来したのか・・・

今回は理由がわからない状態です。

 

 

 

↑ 干潟活動ではアマモ場を増やしたい場所(堤防から南側の通称「外海」)に、内海の多年生アマモを移植する活動を行っていますが、

今シーズンは移植するものがありません。 

そこで、2シーズン前から開始したアマモラボの水槽環境で実生から生育させたアマモの移植のみを行いました。

先月12月も水槽アマモを移植したとのことで、その後1ヶ月経過しましたがきちんと根付いてかつ草丈も伸びていたので、これは一安心です。

(左上)まずは学校の水槽から引きあげたアマモの草丈を計測し記録します。

(左上・左下)今シーズンのアマモ場を増やしたいエリアまで移動します。

2020年の大雨後の覆土により歩きづらい状態が続いていましたが、今シーズンは締め固まってきているようで、堤防から遠い場所にも移動できるようになりました。

(右下)今シーズンのアマモ移植エリアでの活動(遠望)。

 

 

 

↑ 最後に恒例の集合写真。おつかれさまでした!

 

 

 

 

 

≪2023年4月追記≫

 

その後もアマモラボと堤防周辺のアマモ場観察を行っていますが、

4月になり明るい時に大潮干潮時間となることから、

暗い時に毎年生育が見られる「堤防北側の多年生アマモ場」も確認できました。

 

 

 

↑ アマモが綺麗に見える4月の「昨年と今年」の比較です(芦北では4・5月が鮮やかに見えます)。

多年生アマモが生育しておらず、実生(今シーズン種から生育した)アマモのみで少ないです。

(ほぼ同じ潮位タイミングで撮影)

 

 

 

↑ 堤防から画面右側(北側となります)が、この時期、多年生アマモ場となるエリアです。

アマモが少ないので、同じように見えてしまいます。

(ほぼ同じ潮位タイミングで撮影)

 

 

≪次回の活動機会記録≫

 

 

 

 

≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫

【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録1<堤防から見た画像>
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録2<上空・水中から見た画像>
【2020年10月】 : アマモ種子選別
【2020年11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、種子洗浄、海辺の自然再生・高校生サミット2020
【2020年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、「高校生マイプロジェクトAWARD in 熊本・益城」
【2021年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、空撮画像取得開始
【2021年 2 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、光量子測定
【2021年 3 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、高校生マイプロジェクトAWARD 全国summit
【2021年 4 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、アマモ種子試験、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム授与式
【2021年 5 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、アマモ種子試験、空撮画像取得
【2021年 6 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、空撮画像取得、日本沿岸域学会参加
【2021年 7 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、くまもと環境賞受賞
【2021年 8 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム全国大会出場へ
【2021年 9 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、アマモ種子選別、アマモポット苗作成
【2021年10・11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、アマモ種子選別、光量子測定、SPAD値測定
【2021年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定
【2022年 1 月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2022年1・2・3月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定、水槽環境構築、マリンチャレンジプログラム全国大会、サイエンスキャッスル九州大会
【2022年 4 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、水槽構築、光量子測定
【2022年 5 月】 : アマモ観察、空撮画像取得
【2022年 6 月】 : ロープ式下種更新法、空撮画像取得
【2023年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)+4月追記(アマモ場昨年比較)
【2023年 5 月】 : アマモ観察、ロープ式下種更新法、取材