アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究体制(豪雨その後1<堤防から見た画像>)

毎月の活動ブログ更新が6月より途絶えていることもあり、芦北高校含め御心配のお声を頂戴しており恐縮です。

今回の内容はアップすることを悩んでいましたが、芦北高校の先生方からも記録として必要です・・・との後押しもあり、編集していくことに決めました。

 

 

熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制(最下部に、「芦北高校との活動記録リンク集(18本)」あります)ですが、

6月、7か月ぶり12月以来、生徒さんと活動が行えましたが、

その後、7月4日に発生の九州豪雨により、同校にも影響があり、生徒さんとの活動ができておりません。

また、干潟での定植活動を行っている佐敷川河口では、堆積物が流れ込み海水の色も茶色となり、

活動場所に至るスペースが災害廃棄物置き場となったため、しばらく近づくことができず状態が続きました。

しかしながら、芦北高校内にある「アマモラボ」(リンク展開後、下部に6月活動の様子)は、

2階にあることで、また電源系統も無事であり、水槽内のアマモは生育環境が維持されて試験は継続できております。

生徒さんは不在ですが、先生方とも連絡を取り合い、以後の干潟での観察・定植活動再開に向けて、

まずは、現状把握を進めよう!となり、7月下旬より実施した現場把握の記録を2回に分けてお示ししたいと思います。

 

・アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(豪雨その後1<堤防から見た画像>)(← このブログ)

アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(豪雨その後2<上空・水中から見た画像>

芦北高校ブログ(7月4日・同校の様子)

 

 

 

↑ 豪雨より数日後、活動の干潟近くの漁港から撮影した画像。

海の水が茶色となり、アマモも多く引っかかっていたことが気になっていました。

(朝日航洋株式会社さまHPより、参考画像をリンクさせていただきます → (画像上部が佐敷川河口)

 

 

 

↑ 芦北高校・前島先生も気になっておられたようで、7月下旬にいつもの堤防(活動干潟へのアプローチ場所)に行くことができました。

海の色も、茶色とは言えないほど改善されていましたが、堤防には多くの漂流物が堆積していました。

アマモも大量に流れ着いていて、7月下旬としては花枝を蓄えて漂い始める時期とはいえ、その多さに驚きました。

二人のスケジュールと干潮時間は調整できなかったので、後日、大潮干潮時間に再訪することにしました。

 

 

8月の大潮干潮時に再訪。

 

↑ 干潮風景が変わっていて、干潟全体に佐敷川などを通って流されてきた泥(土)が堆積している印象です。

また、木々がその泥に引っかかっているのが確認でき、泥の下には何があるか未知数です。

干潟の土の質がかわったのか、水が引き切らなくなっているのも変化です。

例年12月の深夜(大潮干潮時間に合わせて)から始まる同高によるアマモ定植活動前に、干潟に入れるものかの判断材料として、

明るい時間での大潮干潮時間に入って調査しておくことが必要と感じています。

 

 

 

↑ 大量に広がっていたアマモ場も、残念ながら確認できず。

泥の下に残っているのか、豪雨時の水の流れで流されたかは、まだ未調査です。

(定植活動時の今年5月の様子と、昨年の8月の様子も比較)

定植した場所「試験区」を示す「杭」の長さ比較で、新たに堆積した土(泥)は、20cm~30cmと思われます。

ここまでは、堤防から南側の佐敷川河口「通称:外海」の様子でした。

 

 

堤防から北側の「通称:内海」、漁港側を見てみます。

 

↑ 泥の堆積は外海と比べると少ないようですが、アマモの数自体が減っている印象です。

海水が茶色く濁っていた時期が約3週間ほどあったので(現在もまだ濁りは残っていますが)、光合成進まずで弱って抜け落ちた可能性もあります。

近年海水温が上昇していることもあるので、別の生育環境要因との組み合わせもありますが、

昨年と今年は、どうもアマモの様子が違う(大きくならない、少ない・密度が小さい)・・・という声は、九州~近畿各地では聞いております。

 

 

最後に、上記から約1か月後の9月20日、大潮満潮でも一年で最も潮があがる時期に訪問。海水の色もずいぶん戻ってきていました。

いつもの干潮風景が、こんなに見違える様子を記録です。

また、堤防上の漂着物はいつの間になくなっており、聞くと、先日の台風(9・10号)通過後には無くなっていたとの情報でした。

 

 

 

 

その後、上空からの画像や水中からの画像を、ドローンを活用して記録しましたので、次のブログでお伝えします。
https://www.agri-light-lab.co.jp/?p=5867

 

また、後日、ダイバーさんに依頼して海底の様子を詳細に確認いただく機会も予定しております。

(芦北町と漁協、芦北高校さんも含めて、海底堆積物により現在「漁」が不調とのことで、まずはの調査を行うものです)

 

 

 

 

≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫

【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録1<堤防から見た画像>
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録2<上空・水中から見た画像>
【2020年10月】 : アマモ種子選別
【2020年11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、種子洗浄、海辺の自然再生・高校生サミット2020
【2020年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、「高校生マイプロジェクトAWARD in 熊本・益城」
【2021年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、空撮画像取得開始
【2021年 2 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、光量子測定
【2021年 3 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、高校生マイプロジェクトAWARD 全国summit
【2021年 4 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、アマモ種子試験、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム授与式
【2021年 5 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、アマモ種子試験、空撮画像取得
【2021年 6 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、空撮画像取得、日本沿岸域学会参加
【2021年 7 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、くまもと環境賞受賞
【2021年 8 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム全国大会出場へ
【2021年 9 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、アマモ種子選別、アマモポット苗作成
【2021年10・11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、アマモ種子選別、光量子測定、SPAD値測定
【2021年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定
【2022年 1 月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2022年1・2・3月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定、水槽環境構築、マリンチャレンジプログラム全国大会、サイエンスキャッスル九州大会
【2022年 4 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、水槽構築、光量子測定
【2022年 5 月】 : アマモ観察、空撮画像取得
【2022年 6 月】 : ロープ式下種更新法、空撮画像取得
【2023年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)+4月追記(アマモ場昨年比較)
【2023年 5 月】 : アマモ観察、ロープ式下種更新法、取材