アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(19ヶ月目)・「芦北町環境基本計画」への掲載など

熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制も19ヶ月目に入りました。

≪スタート時の話題、当社のアマモ研究についての説明・資料は 【コチラ】

≪ご参考(以前の活動記録):2019年 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【8月(芦北高校「優秀賞」)】・ 【9月】 【10月(アマモサミット・芦北高校もプレゼン)】 【11月】 【12月】・2020年 【1月】 【2月】 【3・4月】 【5月】

 

2018年12月より月1度の、同校「林業科 アマモ班」のアマモ場造成への活動にも参加させて頂いておりますが、

6月は、大潮最干潮時期の2020年6月6日(金)に「アマモ試験区観察・花枝採取・ロープ式下種更新法による仕掛けなど」を行いました。

また、UAV(ドローン)による空撮も入り、1年間で最も規模の大きい活動となりました。

(今回のブログは他の月よりも倍以上の画像量となります)

 

生徒さんも6月1日よりようやく通常体制となり、昨年12月以来、干潟での活動が再開されました(半年ぶりで、明るいとき環境・3年生単独での活動も初となります)。

新3年生は生徒さんの数も少なく、今年はアマモ班は5名となりますが、当社からは私と北野研究員での参加となりました。

 

 

 

先月同様に30℃の気温でしたが、風もなく、明らかに湿度が高く、堤防の移動時早くもしんどさが・・・。

曇り空だったのが助かりましたが、7・8月でのウェーダー着装は中々のダイエットできそうな環境となります(昨年経験上)。

今月あたりから、明るいときの最干潮でも漬かるくらいのコンディションで、アマモも干出せずですが逆に観察はしやすいところ。

緑豊かな様も今月中までで、これからは腐食して茶色っぽく変化してきます。

まさに、今が緑のじゅうたん「芦北風景」がみられる時期となります。

 

 

 

↑ 今月の活動は、アマモ場造成手法として「ロープ式下種更新法」の仕掛けづくりです。

昨年の説明内容の転記となりますが、

「ロープ式下種更新法」は同校が開発し、2009年から採用しているアマモ場造成手法で、

同校では2003年より、アマモの繁殖方法として「普通移植法」「ドンゴロスマット法」「粘土活着法」「割り箸固定法」「実生ポット苗法」などを実践、

工数の多さ、コストの面から、効率性に課題があると感じていたようで、

林業科の活動より「天然下種更新法」を参考とした自然に近い条件で、大面積を大幅な効率化を実現できることから、この手法を考えられたそうです。

約2m間隔で、1ヵ所につき、アマモ花枝20本の束を装着。結果100m超のロープ(花枝の束50以上)を設置します。

アマモ種子が数多く含まれる「花枝」状態のものを選別し、束にして、それをアマモ場造成したい場所に置く。

自然環境にまかせて花枝が腐食することで、種子が海底に沈み、そこから新しい生活環が生まれるということで、

追熟を経て採取した種子を撒く作業より面的・量的にも大規模になります。

実際、活動開始の2003年のアマモ場面積「2,500㎡」が、2018年には20倍の「50,000㎡」まで拡大しているそうです。

(さらに拡大中で、今年分の空撮画像から解析・計算中です)

前置きが長くなりましたが、まずは準備にて花枝をまずは採取していきます(堤防北側の通称「内海」の多年生アマモ場より)。

繁茂するアマモ場より、選びながら地下茎ごと引き抜いて20本で1束をつくります。

 

 

 

↑ そして、束ごとロープへ装着する方法をレクチャーし、今度は堤防南側の通称「外海」へ。

アマモが生えない河口からのヘドロが蓄積するエリアに設置します。今年は、60の束(花枝1,200本)を設置しました。

この手法により、アマモ場面積が1年単位でどのくらい増えるものなのか、

そもそも花枝から放たれた種子が、次のシーズンに発芽し新たなアマモ場を形成する栄養株となるのか、

自然界での追いかけは中々難しいです。今増えているのも、何年か前の種子かも!?

 

 

 

↑ 12月から3月まで毎月設定した試験区のアマモも生存しています。

 

 

 

↑ 今回の活動は、タイムラプス撮影(5秒インターバル)してみました。

遠望撮影なので活動イメージとなります(内海編・外海編の2種です)。

 

 

 内海編(花枝採取・22秒)

 外海編(ロープ式下種更新法<動画上の方>・14秒)

 

 

そして、ドローンが活躍。

 

↑ 今回の活動は空からも撮影。

ドローンオペレータの高峰氏(芦北町内で農業生産者をされながら、撮影・web製作関連会社の取締役も兼任)が

芦北高校からの依頼でご参加。同じ日の一年前もロープ式下種更新法実施日で、その時も空撮機会にて初めてお会いしましたが、

その後、多くのことでお世話になっており、ご縁がつながっております(まだ1年?というくらいです)。

アマモ場の拡がりの把握も目的ですので、距離把握にて堤防や海でポールや人の間隔で、

スケールづくりの材料となる撮影も行ってから各種撮影スタートにて、活動中適宜フライト頂きました。

 

 

 

 

 

 

↑ 昨年のフライトとほぼ同じ位置(外海)を比較すると、濃くなっているエリアが増えている印象です。

(同じ6月5日に撮影)

拡大すると、12月から設定した試験区のアマモ場もわかりますね(四角エリアの連続)。

ですが、今年は暖冬だったせいなのか、各地のアマモ場より、

「生育面積が減った」「アマモ葉にコケなどの付着物が多い」など異変の声も聞こえています。

今年のこの変化が来年以降、何か影響していくのか・・・自然界の植物生長は変化への要素が多すぎて、

興味どころであり、とりとめないテーマです。

空撮、よかったです。大潮満潮バージョン、3ヵ月に1度のフライトで多年生・一年生アマモの経過も見たいものです。

≪芦北高校さんから提供・許可にて掲載(高峰さんが撮影分)≫

 

 

 

↑ 干潟での活動のあとは、芦北高校へ戻り、ラボでの活動。

6月になって生徒さんも我々外部の人間と共に活動できるようになったので、

水槽構築レクチャーを行い、干潟活動までに4セット分を事前に立ち上げました(芦北高校管理用)。

そして、干潟活動で採取した天然アマモを「4つの工夫別」に水槽内に定植しました。

比較試験にて、差がでてくる経過・結果が楽しみです。

 

 

 

↑ 当社の管理水槽でも、採取したアマモをセッティングし、

さらに、今年も追熟装置を構築。フレッシュな種子採取のために花枝を収納して終了

(昨年度採取分は、毎週種子洗浄を施し管理しております)。

 

 

 

↑ 今回も堤防上で記念撮影。てんこもりな内容にて4時間の作業となりましたが、

季節変化は待ってくれませんので、長らくの活動制限なくなり生徒さんも合流してくれてよかったです。お疲れさまでした!

 

 

 

↑ 最後に、芦北町が「第2次芦北町環境基本計画(令和2~11年度の10年間計画)」を策定し公開が開始されていますが、

その中で、当社と芦北高校とのアマモ場造成活動についても、記載されております。

【該当文書】

下記URL(芦北町)より、

「第2次芦北町環境基本計画 (PDF文書:6MB)」を展開、23・25ページが該当です。

http://www.ashikita-t.kumamoto-sgn.jp/www/contents/1585555067074/

 

【記載内容抜粋】

葦北郡内唯一の高等学校「芦北高校」は、平成15年から「芦北湾におけるアマモの繁殖方法の確立と普及による

地域環境保全活動」として、アマモ場造成への研究に取組んでおり、平成30年には、全国的にも珍しいケースとして、

大学発ベンチャー企業と共同で研究にあたるなど、ほかにはない取り組みを行っています。

 

 

 

 

≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫

【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載