アマモ研究 : 熊本県立芦北高等学校との共同研究(38~40ヶ月目)

熊本県立芦北高等学校(通称:芦高<あしこう>)とのアマモを対象とした共同研究体制も40ヶ月目に入りました。

≪スタート時の話題、当社のアマモ研究についての説明・資料は 【コチラ】

≪ご参考(以前の活動記録):2019年 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【8月(芦北高校「優秀賞」)】・ 【9月】 【10月(アマモサミット・芦北高校もプレゼン)】 【11月】 【12月】・2020年 【1月】 【2月】 【3・4月】 【6月】 【10月】 【11月】 【12月】・2021年 【1月】 【2月】 【3月】 【4月】 【5月】 【6月】 【7月】 【8月】 【9月】 【10・11月】 【12月】

 

 

2018年12月より月1度の、同校「林業科 アマモ班」のアマモ場造成への活動にも参加させて頂いておりますが、

2022年1~3月は、ラボ活動(アマモポット観察、新水槽構築、プレゼン準備)・干潟活動(アマモ移植、観察。

そして空撮画像撮影(今回はいつも依頼しておりますオペレーター高峰さん単独で実施いただきました))を進めてきました。

当社としては、アマモ研究活動の(大きく資金的な面での)礎となっていた、

公益財団法人水俣・芦北地域振興財団(平成30年度~令和3年度 環境技術研究開発)

研究開発題目『定植事業の規模拡大を後押しする 「植物工場技術」を用いた高定着率アマモ苗の効率的大量生産技術の確立』

プロジェクト事業が、2022年3月をもって終了となりました。

しかし、芦北高校のアマモ研究・アマモ場造成活動が続く限り、同校活動の研究指導・後方支援は継続したい想いがありますので、

2022年4月からの体制については、後日ご案内いたします。

 

 

 

<干潟活動>

◆ 2月4日の様子

大潮干潮時間(5時ごろ)にあわせて、深夜4時すぎ集合にて活動開始です。

毎年この時期の深夜活動の寒さもそこまで感じずの気候でした。

当日、芦北高校から3年生アマモ班4名と前島先生、当社からは筆者(園山)と北野研究員の参加でした。

 

 

↑ (左上)堤防から北側(通称:内海)の多年生アマモ(自生)を採取していきます。

(右上)その間に、前島先生は、11月から内海自生アマモを移植した堤防から南側(通称:外海)のアマモ場試験区の観察に入ります。

(左下・右下)その後、内海で採取したアマモを、外海に移植していきます。画像の堤防から左側が内海、右側が外海です。

 

 

 

↑ (左上・右上)今シーズンのアマモ試験区、2月移植場所に採取したアマモを植えていきます。

(左下)私(園山)は、堤防でSPAD値(リンク先展開後ページ中ほどに初登場時の説明あり)の測定を進めます。

(右下)北野研究員は、アマモ場底質・非アマモ場底質の採取を進めます。

 

 

 

↑ 2月の干潟活動も無事に終了。いつもの集合撮影です。

そしてこの機会が3月1日に卒業式をむかえる3年生との干潟活動の最終回。2020年12月の干潟活動が初顔合わせだったので、

1年4ヶ月(2022年3月まで換算)の長い間一緒に活動したことになります。

お互いに感謝をお伝えし、干潟活動を終えました。

 

 

なお、干潟活動は毎月行っていますが、1月と3月は私が別件出張中で参加できずでしたので画像がなく、

前島先生から頂戴した画像をもとに、記録します。

 

◆ 1月5日の様子

大潮最干潮時間が4時半すぎということで、早朝4時半集合で活動開始。

アマモ班5名(アマモ班全員)・前島先生、当社からは北野研究員が参加しました。

 

 

↑ (左上)今シーズンの干潟活動(11月~)は、アマモラボ(芦北高校内の研究水槽)で種から生育させたアマモ苗を移植しており、

何センチまで生長したアマモを移植すると、アマモ場を増やしたい干潟において生存しやすいかの比較試験も進めています。

(右上)あわせて、内海で採取した自生アマモを、アマモ場を増やしたい外海の干潟試験区への植え付けです。

(左下)移植したアマモは、毎月どのくらい生長したか草丈を測定しています。これは水槽で生育させたアマモ苗の1月の状態ですが、

草丈30cm以下だったアマモが、移植後に伸びていることがわかります。

(右下)恒例の集合写真、白の軍手で「AMAMO」ポーズがよくわかります!

 

 

◆ 3月4日の様子

大潮最干潮時間が4時すぎということで、早朝4時集合で活動開始。

卒業式(3月1日)後でもあり、アマモ班OB(3年生)1名・前島先生、当社からは北野研究員が参加しました。

 

 

↑ 人数が少ないため、移植は行わずに試験区の観察記録を進めました。

(左下)北野研究員は、アマモ場と非アマモ場底質の採取と、3月からは底質が変化する前にその場で測定するデータ取得を進めました。

(右下)記念撮影は、出水さん(OB・3月1日で卒業)と前島先生(右側)です。

 

 

 

<ラボ活動>

3月18日、新3年生(3月時点では2年生)アマモ班との初顔合わせ機会です。

そして、購入いただいた水槽等のセットアップレクチャーを行いました。

 

 

↑ (上側)当社と芦北高校のタッグの経緯を説明させていただきました。

(下側)水槽の他に、水温を制御するチラー・ろ過装置・ポンプの機能を説明し、接続方法を伝えていきます。

当社試験環境と同一のものを導入していただいており、今回で3系統の水槽環境が新たに立ち上がりました。

 

 

 

↑ (上側)その後、人工海水調製方法のレクチャーです。対象となる水量は水槽だけではなく、

ろ過装置内などの水量も加味して、投入する塩(研究用人工海水の素)の量を決めていきます。

(下側)無事に立ち上がりました。右下の画像は、1週間後の立ち上げ水槽の様子ですが、人工海水の素もすべて溶出して濁りもなくなり、

試験系準備完了した状態のものです。

 

 

3月11日、

和歌山工業高等専門学校(以下、和歌山高専)生物応用科学科 楠部研究室の中嶋さんと園部さんが、

芦北高校へ来校するとのことで、私も時間をあわせて訪問。

中嶋さん、芦北高校が海を題材に研究を進める「マリンチャレンジプログラム(後述)」を実施するなか、

研究アドバイザー(2019年の時の様子)に任命されており、定期的な主にオンラインで研究の進め方やデータのまとめ方をアドバイスする立ち位置ですが、

年間最後の機会で、リアル訪問での指導機会での訪問。

また、中嶋さん自身も同様にアマモを題材とする研究を進めていることから、フィールド違いの芦北のアマモ場でのデータ取得も進める動機でした。

中嶋さんとは2018年から知り合いですが(マリンテックグランプリが初機会)、

所属研究室の楠部先生とは、この2018年から当社は共同研究体制としており、ほぼ毎月のオンライン+双方向の訪問機会など、

4年間のお付き合いです。中嶋さんの芦北来訪はほぼ3年ぶりで久しぶりの再会となりました。

 

 

↑ 芦北高校はマリンチャレンジプログラム全国大会でのプレゼン機会をひかえ、

最終のプレゼンレクチャー(時間の使い方など)を進めていました。

その後、中嶋さんは3年ぶりのアマモラボへ。

「若い高校生が、若いアドバイザーに説明をして、ディスカッションを行う」姿に感動でした。

2021年度は、芦北高校内で、次年度の3年生(当時2年生)に対面で研究を引き継ぐシーンが実現しておりませんが、

研究成果と造成活動内容を伝えるリアル機会は重要だと感じたところです。

 

 

 

マリンチャレンジプログラム 全国大会

芦北高校は、2019年も採択された「マリンチャレンジプログラム」に2021度も採択され研究を実施しており、

(研究テーマ『ヘドロを用いたアマモ実生苗確立の基礎的研究~熊本豪雨災害からの復興~』)

成果発表として、8月11日に「マリンチャレンジプログラム2021 九州・沖縄大会~海と日本プロジェクト~」が開催され成果をプレゼンし、

優秀賞を獲得。全国大会への出場となりました。

3月13日、その全国大会が開催され、卒業後ではありましたが元3年生の出水さんが代表としてプレゼンし、

「リバネス賞」を受賞しました! おめでとうございます!

(下記は、オンライン聴講でのPC画面のスクリーンキャプチャーでの画像となります)

 

 

 

 

サイエンスキャッスル2021 九州大会

芦北高校は口頭発表12チームに選出されており、演題『ヘドロを用いたアマモ栽培の挑戦・熊本豪雨災害の復興』で発表し、

見事「熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアム賞」を受賞! おめでとうございます!

(下記は、オンライン聴講でのPC画面のスクリーンキャプチャーでの画像となります)

 

 

 

 

芦北高校は、2021年度は他にも多くのプレゼン機会があり(私が都合がつかず同席・聴講機会を逃しており画像なし)、

2020年7月大雨でのアマモ場消失したアマモ場の復活に向けた活動・研究について知らしめることができました。

高校生のうちに、「データを取得する・比較する・考察する+プレゼンして知らしめる」機会を多く経験できてうらやましいです。

それは、先輩から引き継がれ、また後輩に引き継ぐ体制の歴史があり、4月からは、その活動も20年度目に突入です。

今後も、芦北高校の活動に注目です!!

 

≪次回の活動機会記録≫

 

 

 

 

≪ご参考:芦北高校との活動記録リンク集≫

【2018年12月】 : 共同研究体制スタート。アマモ班と初顔合わせ。
【2019年 2 月】 : 芦北高校に当社研究水槽設置。アマモ班との座談会。
【2019年 3 月】 : 深夜の定植活動
【2019年 4 月】 : 明るいときの定植活動(この月より最干潮時間が陽が高い時のため)
【2019年 5 月】 : 花枝採取、マリンチャレンジプログラム授与式
【2019年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成
【2019年 7 月】 : 土壌採取、分析
【2019年 8 月】 : 土壌採取、分析、取材
【2019年 8 月】 : 芦北高校「優秀賞」
【2019年 9 月】 : アマモ観察、採取
【2019年10月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2019年11月】 : アマモ観察、採取(この月より最干潮時間にあわせて深夜活動)
【2019年12月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、取材
【2020年 1 月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察、採取、当社ラボ見学来訪
【2020年 2 月】 : アマモ移植(試験区設定)
【2020年3・4月】 : アマモ移植(試験区設定)、観察
【2020年 5 月】 : アマモ試験区観察、採取
【2020年 6 月】 : ロープ式下種更新法でのアマモ場造成・試験区観察・ドローン飛行による撮影・芦北町環境基本計画掲載
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録1<堤防から見た画像>
【2020年 9 月】 : 豪雨後の記録2<上空・水中から見た画像>
【2020年10月】 : アマモ種子選別
【2020年11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、種子洗浄、海辺の自然再生・高校生サミット2020
【2020年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、「高校生マイプロジェクトAWARD in 熊本・益城」
【2021年 1 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、空撮画像取得開始
【2021年 2 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、光量子測定
【2021年 3 月】 : アマモ観察、移植(試験区設定)、アマモ種子試験、空撮画像取得、高校生マイプロジェクトAWARD 全国summit
【2021年 4 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、アマモ種子試験、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム授与式
【2021年 5 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、アマモ種子試験、空撮画像取得
【2021年 6 月】 : アマモ観察、移植(水槽生育分)、ロープ式下種更新法、空撮画像取得、日本沿岸域学会参加
【2021年 7 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、くまもと環境賞受賞
【2021年 8 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、マリンチャレンジプログラム全国大会出場へ
【2021年 9 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、アマモ種子選別、アマモポット苗作成
【2021年10・11月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、アマモ種子選別、光量子測定、SPAD値測定
【2021年12月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定
【2022年 1 月】 : アマモサミット・芦北高校もプレゼン
【2022年1・2・3月】 : アマモ観察、移植(試験区設定、水槽生育分)、空撮画像取得、SPAD値測定、水槽環境構築、マリンチャレンジプログラム全国大会、サイエンスキャッスル九州大会
【2022年 4 月】 : アマモ観察、空撮画像取得、水槽構築、光量子測定
【2022年 5 月】 : アマモ観察、空撮画像取得
【2022年 6 月】 : ロープ式下種更新法、空撮画像取得